2025/07/30 23:38

あの日、
朝の光がやけに白く、
空気が凛としていたのを覚えている。

無意識に、
足が神社の裏手へ向かっていた。

鳥も風も、
遠くの車の音さえもしない。

世界がひと息、
息をのんだような静けさだった。


石段の影に、
小さな気配が宿っていた。

それは、霧に溶け込むような白い蛇。

光を含んだ鱗が、
柔らかく煌めいていた。

赤く煌めくその瞳は、
わたしの胸奥にある何かを見ているようだった。


言葉はなかった。
けれどー
確かに、心が澄んでいくのを感じた。


気づけば、
「自分が本当に望んでいたこと」が、
心の底に、ふわりと浮かびあがっていた。

そして白い蛇は、音もなく、姿を消した。


シラは、静けさの中にだけ現れる。

忘れていた願いを、
そっと思い出させるために。

・・・

プロフィール

名前:シラ
分類:まどろみのヘビ
性格:穏やかで神秘的。時々、ぼんやりしていることも。
生息地:朝露の残る石段や、誰もいない神社の境内
特徴:全身が淡く白く、やわらかな光をまとっている。
その姿は、時間の流れさえ緩かにしてしまうような、不思議な空気を連れてくる。
好きなもの:静かな朝、遠くで鳴る鐘の音
ひとことメモ:姿を見た人には「ちょっといいこと」が起きる……そんな言い伝えがあるとか。
そばにいると、ふとした瞬間に心がすっと軽くなるような存在。