2025/08/09 20:00


あの夜は、虫の声がにぎやかだった。


田んぼ道はすっかり暗くなり、
空には星がこぼれるように広がっていた。

街灯がなくても、なぜか明るい夜道。
わたしは、おじいちゃんと2人で歩いていた。


その時だった。
草むらの先で、何かがすうっと横切ったのは。

青とも黒ともつかない細い影が、
金と銀の粒をちらしていた。

まるで夜空のかけらが、
地面に落ちてきたみたいだった。


それがなんだったのか分からない。

だけど、
あれを見た時の感じは今でも忘れられない。

音もなく、ただそこにいて、
わたしたちのことをじっと見ていたような気がした。

それは夜の静けさにまぎれて、
すぐに見えなくなってしまったけれど。


その存在が、わたしの中に
静かに残った。

だから今も、ときどき思い出す。

星の光、草の匂い、虫の声。
そして、
夜空のどこかから落ちてきた、あの光のことを。

・・・

プロフィール



名前:ホシノ
分類:よぞらのヘビ
性格:物静かで、大人しい
生息地:夏の夜空、夜の田んぼ道
特徴:青から黒へとゆっくり移ろう身体に、
金と銀の星屑をまとう。
青く深い瞳が印象的。
好きなもの:虫の声、風に揺れる稲穂
ひとことメモ:流れ星の多い夜によく現れるらしい。
暗い道で出くわすと、怖がられるのが悩み。