2025/09/07 15:07


あの日、
わたしは知らない町を歩いていた。


線路の向こうに、
春の空が大きく広がっていた。

淡い水色と深い青がまじり合うその空は、
どこか遠くへ行きたい気持ちを誘う。


ふと、風が吹いた。
そのときだった。

空のかけらのような青い影が、
すうっと目の前を横切ったのは。

白い模様が風といっしょに揺れ、
透明な青い瞳がこちらをのぞき込む。

まるで、空の奥へ誘われるようだった。

その蛇は、ほんの一瞬で姿を消した。
だけど、風の音の中にまだいるような気がした。


そのとき、ふと思い出した。
昔、誰かが言っていたことを。

──旅の途中で、空をまとった蛇に出会うことがある。
それは、風といっしょに現れては消えるのだと。

本当にいるのだろうかと、ずっと思っていた。
けれど今、こうして出会ってしまった。
胸が高鳴っていた。


数十年たった今でも覚えている。

あの町の花屋の匂い、
線路の響き、春の風。


そして
──旅の空から降りてきた、あの青い蛇のことを。

・・・

プロフィール



名前:ソラ
分類:はるかぜのヘビ
性格:好奇心旺盛、ちょっと抜けている
生息地:高い空
特徴:何色もの空を集めたような体を持ち、
白い風の模様が浮かんでいる。
空の奥をのぞき込むような濃い色の瞳を持つ。
好きなもの:線路の向こうの空
ひとことメモ:「目が合うと、不意にどこか遠くへ行きたくなる。」
旅人の間でそんな噂が。。。